
井手 健一郎
IDE Kenichiro
rhythmdesign Ltd.
学生時代に一生懸命考えたり見つけたりした問いは、意外な形でその後の自分の軸となり、揺れ動く心の支えになることがあります。いま、自分が考えていることに対して、どのような反応や意見が返ってくるのか。対話に耳を傾けながらも、他者の評価に振り回されずに、未来を見据えて自分の思考の現在地を見つめ直す時間にしてほしいと思います。
経歴
1978年福岡市生まれ。2000年福岡大学工学部建築学科卒業後、渡欧。帰国後、2004年リズムデザイン設立(2016年改組、法人化)。活動は、私邸から公共建築、伝統的建造物のリノベーション、そして10年間継続したデザインイベントまで多岐にわたる。デザインとは寛容な眼差しを持った働きだと捉え、常に他者と対話し、生み出すべき状況をあぶり出していく。その他者とは発注者や利用者であり、すべての生活者であり、歴史的文脈であり、地域文化、風習、地形、場の痕跡でもある。そのような対話から「あるものを活かして、ないものを最小限でつくる」姿勢は、常に一貫している。
受賞歴
2024年グッドデザイン賞(みとろの丘)
2021年グッドデザイン賞(大濠テラス)
2021年グッドデザイン賞(megane coffee & spirits)
第29回市都市景観賞 大賞(大濠テラス)
第7回福岡県木造・木質化建築賞 大賞(大濠テラス)
アジア景観デザイン学会 学会賞 景観作品賞 2018 (水上公園シップスガーデン)
第29回福岡県美しいまちづくり建築賞 大賞 (水上公園シップスガーデン)
第22回くまもとアートポリス推進賞 (再春館製薬所体育館 サクラリーナ)
第27回福岡市都市景観賞 大賞 (水上公園シップスガーデン)
第26回福岡市都市景観賞|活動賞(デザイニング展)
学生のうちにしていてよかったこと
学生時代から社会に出るまで、旅を通して多くのことを学びました。当時は情報を得る手段が限られており、旅をすることが深い洞察を得る、最も効果的な方法のひとつだったように思います。旅の魅力は、生まれ育った環境を離れ、「違いに気づく/差異に触れる」機会を得られる点だと感じます。そうした気づきが、それまでの考えを見直し、新しい視点を得るきっかけになりました。
私たちのデザインや設計は、多くの場合、違和感の種を見つけることから始まります。どれだけテクノロジーが発達しても、小さな違和感を感じ取るには人間の感覚が重要なのではないでしょうか。実際に動き、体験し、違和感や驚きを肌で感じて得た旅の学びは、社会人になったいまも、設計者としての基盤となっています。
作品




